『埼玉県立草加東高校 薬物乱用防止教室』
「子どもたちの心に響く薬物乱用防止教室にしたい」とお声をいただいたのは、もう半年以上前のことでした。本当は一人芝居の体験劇を観せたかったのですが……。今回は私の活動映像と体験談の60分。映像を観た後にじっくりお話しする時間がとれるため、これはこれで意義のある講演会になりました。
越谷レイクタウン駅から新興住宅地を抜けて歩いていくと、畑の奥に校舎と体育館が見えました。畑の中で深呼吸をしながら進んでいると、子どもたちがマラソンをしていました。走る子どもたちとは逆の流れで歩いていくと、見るからに体育の先生らしい方が生徒たちを見守っていました。
「すみません。今日の薬物乱用防止教室で講師をさせていただく内谷ですが」「あぁ、聞いています。ここは裏口なのでご案内します!」と、生活指導の先生が親切に応接室まで案内してくださいました。先生はこの学校に10年いるそうで、生徒たちの急激な変化を感じていると話してくれました。
「大人しくて自分の意見を言わない子が多くなりましたね」と先生が話してくれたとき、私も全国の講演会で同じように感じていることを思い出しました。我々の学生時代とは異なる社会環境や人間関係の中で、さまざまな思いを抱える子どもたちが増えているのは間違いありません。その思いを吐き出し、共有できる場所や何でも話せる仲間を持つことが必要だと感じています。子どもたちには自分に合った居場所を見つけてほしい。それは自分自身で見つけなければならないのです。
応接室で待っていると、今回、私に声をかけてくださった先生がいらっしゃいました。メールで何度もやりとりしていましたが、初対面です! いつも思うのは「思っていたよりも若い先生だなぁ」ということ。私が歳をとったということでしょうか(笑)。先生は以前にもダルクの仲間たちを講演会に呼んでくださったことがあり、こういう先生がいる学校では、子どもたちが薬物や依存、生きることについて学ぶ機会が多くて良いなと思います。先生の考え方や選択によって、子どもたちの物の見方や感じ方が大きく変わるのだと改めて感じました。
約900人の生徒たち。皆、静かに興味を持って話を聞いてくれました。何度も言いますが、「自分を大切にしてほしい」。簡単なようで難しいことですが、自分を大切にすることは、他人への思いやりにつながっていくと私は信じています。
今日も子どもたちから、生きる力をいただきました。
今日一日、ありがとうございます。